AIの必要性は十分わかっているし、上から導入を促されるのも当然の流れ。
でも実際のところ、それぞれのツールの違いや意味はなんとなく理解しているだけで、しっかり説明できない、、そんな状況にある方も多いのではないでしょうか。
このような仕事をしていると、結構感じる企業様側の状況であったりします。
今回は、生成AI(LLM)の基本をわかりやすく整理し、導入のステップや注意すべき課題について、一緒に考えるきっかけにしたいと思います。
今さら聞けない LLM とは?
LLM(大規模言語モデル)と聞いて、あなたはどんなイメージを持っていますか?
「社内FAQの自動応答に使えそう」「文章を要約してくれる便利な知恵袋」「翻訳ツールの代わりなどなど… 多くの方がまず思い浮かべるのは、こうした“ベタ”なイメージではないでしょうか。
もちろんそれらは役立つ機能ですが、実はLLMの力のごく一部にすぎません。
LLM(大規模言語モデル)は人間の言葉を理解し、文章を生成するだけでなく、POSデータの分析や競合調査までこなします。さらにRPAや社内システム、外部APIと連携すれば、人間が複数のツールを行き来しながら仕事をするように、業務全体を横断的に進める“頭脳”として動き出すのです。
つまり、日本語で指示を出すだけで、資料作成から提案、システム操作やシステム開発にまで踏み込めるとしたら、あなたはどんな活用を思い浮かべますか?
FAQとどう違うのか?
FAQとLLM、同じように「質問に答える仕組み」に見えて、実はまったく違います。
FAQはあらかじめ用意した質問と答えを突き合わせる辞書です。
一方でLLMは、状況に応じて顧客情報や社内データを組み合わせ、考察や提案まで行える頭脳です。
さらに進化したAIエージェントは、外部システムやRPAとつながり、業務そのものを自動で進められるようになります。
つまり「FAQの延長線」ではなく、仕組みそのものが違う。ここを押さえることが重要です。
では、企業がLLMを導入していくとき、どんな段階を踏んで進化していくのでしょうか。
第一段階:FAQのLLM化
複数の知識を組み合わせ、柔軟な回答が可能になる。ただし依然として静的情報が中心。
第二段階:LLMの業務活用
CRMやPOSなど動的な業務データを取り込み、状況に応じた考察や提案を実行。
最終段階:変革(AIエージェント化)
外部システムやCopilot、音声・画像認識、RPAと連携し、業務自動化やシステム開発まで踏み込む。
あなたの会社はいま、このどの段階にいるでしょうか。
Copilot・NotebookLM・RAG・AIエージェントの違い説明できますか?
これ、すぐに説明できますか?
実は「CopilotとNotebookLMとRAGとAIエージェントってどう違うの?」と聞かれて、答えに詰まる担当者は少なくありません。名前は知っている。でも、違いをうまく説明できない。そんな状況に心当たりはありませんか?
整理すると、違いはこうです。
- Copilotは日常作業を助ける補助AIです。Excel関数の生成、会議メモの要約、メールの下書きなど、業務効率化が中心です。
- NotebookLMは資料を読み込み、要約や横断的なQ&Aを行う情報整理AIです。大量の社内ドキュメントを扱うときに役立ちます。
- RAGは外部データを取り込み、回答精度を高める仕組みです。FAQ検索、OCR資料、CRMやPOSの参照など「目と耳」の役割を担います。
- AIエージェントはさらに進んで、LLMを頭脳に外部システムやRPAと連携し、在庫確認や発注、マーケ施策の効果分析、カスタマー対応など、実務そのものを自動化する「手と足」です。
あなたの会社が「AIを導入しています」と言うとき、それはどのレベルを指しているのでしょうか?
セキュリティとデータの安全性、見落としていませんか?
LLMを業務に使う際には、RAGなどで顧客情報や社内データを取り込むことが増えます。そのとき避けて通れないのが、データの安全性と法規制への準拠です。
日本企業、とくに公共や金融、大企業では、ISMAP(政府のクラウドセキュリティ認定制度)への対応が判断基準になります。たとえばAzure OpenAI ServiceはISMAP準拠のLLMのため安心して使えますが、同じクラウドLLMでも利用するモデルやAPIによってはデータ保護は安全でもLLMレベルでは日本法の保護外になるケースもあります。
つまり大切なのは「どのAIを選ぶか?」よりも、「どの環境で、どの法域でデータが処理されるのか?」という視点です。
大切な顧客データや企業秘密を扱う以上、とても重要な観点ですね。
あなたの会社は、この基本をきちんと確認できているでしょうか?
ベンダーの提案を鵜呑みにしていませんか?
DXとAI導入の本質
最近はCopilotの導入が広がり、多くの企業で「AIを触ってみる最初の一歩」として活用されています。
日常業務の効率化には大きな効果がありますが、それだけで「AI化を進めている」と言えるでしょうか。
本当に価値を発揮するのは、RAGやAIエージェントと組み合わせ、業務や事業の根幹にまで入り込ませたときです。
生成AIは効率化の道具にとどまりません。営業やマーケティング、顧客対応、製品開発や生産管理に至るまで、企業活動そのものを変えるゲームチェンジャーです。
スマートフォンやインターネットが事業の常識を塗り替えたように、AIは次の基盤として、競争力を左右する存在になろうとしています。
AIはITコストではなく経営投資
AI導入とは、単に「新しい技術を取り入れること」ではありません。
LLMは知識を統合し、考察や提案を行う知的基盤です。そこにRAGやAIエージェントを組み合わせることで、自律的に業務を進める実務型のAIへと進化します。
これからの時代に問われるのは「AIをどう導入するか」ではなく、「AIを軸に事業をどう変革するか」です。
あなたの会社はAIを単なるツールとして扱いますか?
それとも未来を変えるパートナーとして迎えますか?
私達は日々このような状況の企業様とAIの導入に向けた骨子づくり、サービスづくりから、からAIの導入のエンジニアリングまで幅広くサポートさせていただいております。
是非お気軽にご相談ください!